貴女はこのことを覚えていますか? ~毒姉編四部作 其ノ壱~

■雨の日はタクシー通学の女子高生■

姉は、本人も気にするところの、くせ毛でした

でもね、贔屓目でもなんでもなく、ふわっとしていて悪くなかったんですよ
私は、個人的に、私の真っ直ぐなしっかりした、いつでも重厚感髪質より好きでした
無い物ねだりなだけかもしれませんけれどね(笑)

ただ、ご本人は全く好みじゃぁなかったみたいでした

そして、本人の気になり度の頂点は高校生の時だったのでしょう

今でも、比較的時間とお金のかかる施術の縮毛矯正ですが、昭和なら更にです(^^;

まぁ、でも「それも」当然いたしておりました

「それも」と言うのは「他も」あったからです

私が、成人まで過ごした都道府県は太平洋側に面する温暖で有名な場所です
しかしながら、私が過ごした街は積雪のある山間部でした
確かに夏は涼しいのですが、山なんで年間の降雨量とかそこそこあるんです
きっと県自体は晴れが多いとは思うのですが、私のいた土地はジメっとしていました

姉は、地域でも上位校に進学しました
地方の閉塞感の強い街のこと
地元の親達にとっては、その高校に子供が進学するのが「自慢」になるような高校
親の優越感も充たしてくれる高校への進学でした

当時の自宅から姉の高校までは3㎞ほどだったと思います
姉は普段は自転車通学を主体にしていました

ただ、問題は雨の日なんですよ

なんとね、タクシーで通学しちゃうんですよ

母は自動車免許を取得していませんでした

でも、バスという手段だってあるんですよ
なのに、髪の毛が濡れるのが嫌なんでしょうけれど、タクシーとはね(^^;

どこぞの御令嬢か?という感じでしかありませんよね
「あのこは貴族」 山内マリコ 著 かよっ!!(笑)

そんなワガママを許す母も母なんですが・・・
母は四人姉妹の長女です
たぶん、母の生家では長女である母が一番我慢を強いられてきたのかもしれません

それも母の心象風景と深層心理にあったのでしょうね
なので、自身の実子の内の長女である姉のワガママを聞き入れていた気がします

(全くもって想像の域からは脱することが出来ませんが、母とその生家のことについては別な時に綴りたいと思います)

私のワガママは、日々の非常に小さい「今日のおやつはこれが食べたい」とかそういうものでした

それに対して姉の場合は、何と言うか象徴的な事象として、節目節目での大きなことというか、姉の性格や我が家のいびつさをそのまま表しているような事柄ばかりでした

その事象の中の1つは、このタクシー通学

ちなみに、我が家は絶賛母子家庭中(笑)

水道は命の水ですから、最後の砦でもあるのでかろうじて止まりませんでした
ですが、電気とガスは止まることはしばしばというインフラ不安定供給貧困家庭でした
何しろ私自身が、窓口へ支払をしに行ったりもしていましたからね(笑)

そんなお家で、お姉ちゃんは雨に濡れると自分のくせ毛が酷くなるからってタクシーで登校しちゃうんですよね

年間で平準化したら大した金額ではないんですよ、確かに
でも、そういう話じゃないですよね

それが、止められないんですよ

止められないのは母にも問題がある
そして、同様に止めずに押し通すのは姉にも問題がある

「問題」と思っているのは、きっとモラハラ被害者の私だけでしょうけれど(笑)

もう当時の毒母と毒姉のやりとりの枝葉末節なんて覚えていません
ただ、姉が屁理屈にすらならないことを言い出して、収集しかない状態になっていた
そういうのは覚えています

父の存命時に常に父母が夫婦喧嘩をしていたこと
原因が父の暴力だったのか何だったのか、母が2度に渡り子供達を置いて出奔したこと
内1度は、私だけを共に連れて姉は置いて行かれたこと
その他様々な過去の我が家でのことなども引き合いに出して、喚き散らしていました

そうやって、母からお金をもぎ取って、雨の日にタクシー通学です

そんな家庭で、中学生の私は努めて明るくしていたんですよね
家でも、学校でもね
そうしたら「担任から悲壮感に欠けると指摘」されちゃうという15歳の悲劇ですよ

■被害者はアンタだけじゃなくて私も一緒なんだけどね■

「空ローン」という言葉をご存知でしょうか?
架空ローンやオーバーリースローンも呼ばれるものです

ローン組んだように見せかけて、金融機関を騙しお金を工面する方法
資金繰りに困った自営業者が使う手法です

それは、誰が悪いかと言えば毒母なことは間違いないことでした

でも、被害者なのは毒姉だけではなく、全く等しく私も被害者でした

母は自身が経営していた会社の資金繰りに苦慮していました
そして、その誘いに乗ってしまいました

車の空ローンです

契約者は、姉と私、各々でした

ですが、そんな事を契約者のはずの私達は知りませんでした
私も姉も契約書の署名はもちろんのこと、書類すら見たこともなかったのですから(笑)

ではなぜそれが白日の下となったかと言えば、返済が滞り保証人へ信販会社から連絡が行ったからです

保証人は、母方の叔母達がなっていました
叔母達へは母からどのような説明がなされて、署名捺印+印鑑証明等必要書類提出という流れになったのかは知りません

信販会社からの連絡で驚いた叔母達から、問い合わせの電話が姉と私にかかってきました
「どうなっているの?ただ、保証人になってくれたら良いだけって言われて、協力してあげたのに、返済が滞っているって言われて困るんだけれど」
というような内容の主張でした

当時、叔母達はもう40代でしたし、不足のない大人
でも、母に騙されたとして、ひたすら怒りと自身への被害に対する保身で感情をぶつけてくるだけでした

被害者なのは、間違ってはいないけれどね・・・
なんというか、両名とも配偶者もしくは本人が事業をしていたりした人でしたから、なんというかあまりにバカというか・・・
反応と対応と対処が幼稚というか・・・

この方達についても、別な機会に綴りましょう(笑)

契約者となっている私と姉の署名は、母の物でした
立派な私文書偽造
母親が子供の名前を勝手に使ってお金を借りちゃった詐欺行為です
母の行為は告発をすれば「刑事事件」

「事実」は1つです
ですが「真実」は個々に存在して、自分本位な視点からでしかないので、何ならいくらでも脚色も可能です

なので「真実」なんてものはどうだって良いんですよ

既に空ローンによる契約は履行されていました
そういう「事件的な事実」とセットで、債務者としての「返済義務の事実」がありました

姉は、正論主張をします
「自分は被害者であり、返済の義務は一切ない」

それは、間違ってないんですよ、貴女は正しいです

ただね、書類上は私達個々の契約になっちゃっているんですよね

■みんな私より年上の人生経験豊富な大人なんだから頭使ってよ■

母は、自身の名前の信用では、もうどうにもお金にならないから、娘の信用に手を出したわけです
したがって、母には他にも返済しなくてはならない債務がありました

まずは、どうやって返済するか?これ考えなきゃどうしようもないじゃないですか!!

そしてね、無い袖は振れないじゃないですか

その結果、被害者の私は、自身の契約となっているその空ローンの返済をするという選択に振り切りました

その時ね、毒姉は言ったんですよ、私に対して
「自分で返済するって決めたのは、アンタの勝手だから」

なんでしょうね
もう何と言うか、姉に対しての感情は何も沸いてきませんでしたね
気持ちが固まってしまったというか、心はどこかに飛んでいきましたね

う~ん、私の勝手かぁ~

その時の私は20代前半で、当事者の中では一番若かったんですけれどね

年上の方々が、みんな責任擦り付けて逃げちゃうから
全員「解決方法は何かないのか?」という思考を巡らせてみるという行為を、まるっと放棄しちゃいましたから

「おい、契約は履行されて、金は動いてるんだよ!!」
「返済義務は既に生じてるんだよ!!」
「そして、他にも借金はあるんだよ!!」

って、そこから考えていかなくちゃならないんだと思ったんですけれどね

私は「自分で勝手に決めた」返済のために、ダブルワークも視野に入れないとならないなぁという考えに至っていました

でも、こんなクソな母親と同居を続けていける訳はなく、家を出ようとも思っていました

感情的に、一分一秒でも早く離れたかったというのが正しかったと思います

とはいえ、時代は足で家を探す世の中でした
かつ、不動産業者は賃貸であっても「手付金・申込金」を要求するのが通常
そんな時代に、働きながらの家探し
今日明日ですぐに家が見つかる訳でもありませんでした

その時、空ローンの保証人になっていた叔母の内の1人の配偶者である、私とは血縁のない叔父が言ってくれました

「引っ越し先が決まるまで、嫌じゃなければ我が家に来たらどうか」

有難い提案でした
私はお言葉に甘えて、その家に一時的にお世話になることとさせてもらいました

そして、その私の決断が愛犬との別れとなることに