■手を出したら最後■
後に、国会に呼ばれて喚問され社会問題となった「商工ローン」
「腎臓売って返済しろ」「目玉売って返済しろ」とか、ちゃんと複数個ある器官を指定した台詞で「切り取り」する手法が有名でした
銀行などの金融機関から融資を受けられないような零細企業に融資
それだけを聞くと、なんかエンジェルっぽく聞こえますよね
確かに、全ての企業に当てはまるわけではありません
ですが、いわゆるその企業の力を金融機関が一定の基準で審査して、力不足と判断した企業です
そういう企業への融資
「商工ローン」自体の企業としての運営もあります
真の慈善事業のエンジェルじゃない限り、リスクヘッジはしないとなりません
融資はその企業の体力や返済能力ではなく、担保+連帯保証人という、そっちの信用で実行されました
さらに契約は「根保証」
限度額まで連帯保証人への報告・連絡・相談なしに借り放題
金利も20%だとか30%だとか高金利
融資の際に経営者の経営能力や事業のことなど見ちゃいないんですよ
どんな担保となる資産を保有しているか?
経営者や企業に担保物件の価値がないのならば、どれだけ太い連帯保証人を付けられるのか?
むしろ、融資先の企業を窓口にして、その先の連帯保証人の財産を根こそぎ奪っていく
手を出したら最後のような資金調達方法
しかしいつの世も、頭を使う人は色々上手いこと考えるものだなぁと
しかも、商工ローン側は、お客様に対してそんな脅しのような言葉を使って返済を迫るような指導を会社としては一切していませんと、国会の証人喚問で答えます
でも、部下が融資先から一円も回収できずに帰社したら、上司が言うんだよね
「お前の財布、ちょっと貸してみろ」ってね
そして、その中のお札をシュレッダーにかけちゃう
「お前達、自分の金じゃないから回収しなくても平気な顔しているけれど、自分の金だったらどうだよ」
「今、シュレッダーにかけられた自分の金と会社の金の大切さは一緒なんだよ」
そんなようなことを毎日毎日言われたりして追い詰められたらね
返済しない相手の事情や気持ちなんて関係なくなっちゃいますよ
腎臓だ、目玉だって言っちゃうようにもなるよね
そんなことを考えると、当時の商工ローンのトップセールスの人ってどんな人格なのか
想像しただけでガクブル((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
会社の資金繰りに窮した母は、その商工ローンから融資を受けてしまいました
■自宅のドアに張り紙って脚色じゃなく現実でもあるんです■
そして返済が履行できなかった次の日の朝
自宅のドアや壁には、白い紙に黒い文字が書かれた張り紙が何枚も
「ドロボー」「金返せ」「嘘つき」
そんな感じの物でした
ドラマでは見たことはありましたが、実際に見たのは初めてでした
しかも、それが自分の家で起こるとは
前日の夜にはなかったので、それ以降の時間に行ったのでしょう
仕事としてはある種尊敬しますよね
そしてその日は、会社の始業時間と共に電話が鳴りました
その電話の件は、私は実際に現場にはいなくて伝聞ですが、なかなかな物だったようです
もちろん、保証人の方にも接触があったとのこと
この日の出来事で、母は「まずいところから借りてしまった」と、やっと気が付きます
「これは、どこからかまた借りてきて、ここのお金は一日でも早く弁済しなくては」
そう思ったことでしょう
でも、もともとそういうところからしか借入が出来なくなっていた会社です
どうにもならない状態に陥っていたんです
その頃母の経営する会社は、事業開始当時の輸送機器等の加工の請負から、人材派遣業のような形に移行していました
許認可等の遵法性が担保されていたとはとても思えませんが、そのような事を生業にしていました
どの業種であればということは言い切れません
ですが人材派遣業は資金繰りが悪化しやすい事業でもあります
正しくは、参入に対して安易に考えていると資金繰りが悪化するということでしょうね
まぁ、安易に考えていると云々は全事業に共通ですけれど(笑)
企業にとっての人件費は、軸となる費用です
人材派遣業は、派遣する人材が商品です
人材の確保さえ出来れば、商品そのものがお金を生み出してくれます
それは正しい
ですが、そういう単純なロジックやフローではありません
でも、この単純な域から抜けられないでいると、資金繰りは瞬く間に悪化します
母は、そういう典型のパターンだったのではないかと思っています
■そうだ娘の名前使っちゃおう■
商工ローンの「切り取り」に追い込まれる母
そこに以前から、社用車の関係で付き合いのあった自動車整備を営んでいる人から持ち掛けられた詐欺話
車の空ローンです
母は即座に乗っかります
だって、商工ローン怖いもん(笑)
でも、自分の名前ではすでにローンは通らない
その時に浮かびました
そうだ、我が家には社会人の娘が2人いる!!
ということで、私と姉は本人の収入ではかなり背伸びをした感の高級車のオーナーに其々がなることに(仮)
姉などは自動車免許すら取得していなかったのに、どういう意図で車のローンなんでしょうね(笑)
そうして直球で言えば「騙し取ったお金」で、商工ローンへは無事弁済となりました
なので、母は腎臓も目玉も命も取られずに五体満足でいられることになりました(笑)
母は、怖い商工ローンの切り取りから逃げることが出来ました
娘たちを騙して逃げられたのでした
今にして思えば、もう少しだけ商工ローンに追い込まれてもネタになったのになぁという気もしないでもありません
ですが、渦中の張り紙を見たあの日の朝は、そんな気持ちには一切なれませんでした
■当事者じゃないって、お前が元凶だろうが!!■
そこから、その空ローンも滞りなく返済が履行されて完済されていれば、未だに私と姉は、所有したことのない高級車の幻のオーナーだった過去のある人でしょう
そして、その事実すら知らないというね(笑)
ですが、もう母の経営する会社は「死に体」どころではない状態
直ぐに、信販会社への返済が不履行となります
すると、連帯保証人欄に署名捺印していた母の妹2人のところへ信販会社からのご連絡
びっくりしちゃった叔母さん達は、姪の私と姉にお電話です
私と姉は、そこで初めて自分達の名前と信用が勝手に使われたことを知る訳です
ローンの契約書の契約者の署名は母の物でした
私も姉も被害者ですから、母に問い正しますよね
今のような情報が簡単に入手出来る世の中でも、こんなことがあれば20代の女の子は動揺すると思います
「起きてしまったことは仕方がない」
「どうやって解決するか調べてみよう」
なんて、冷静に対処して善後策を検討することなんて出来ません
詐欺を行った相手は母親です
当然、この件とは無関係な大小様々な過去のことなども感情的な物に加算されてしまいます
なので、ひたすら不毛な追及と罵倒の時間が家族の間で何日も続きました
その間も、自身の保身だけの叔母達からの状況確認連絡があります
連帯保証人となったことも、返済が滞っていることも、この時点では叔母達は其々の配偶者には一切伝えていませんでした
なので「家族に知られたくない」という気持ちだけだったのだと思います
さすがに、娘の名前と信用を勝手に使っちゃう母親なだけあります
私と姉から責められた母は言っちゃうんです
「筆跡鑑定すれば、あんた達のじゃないのは解るんだから、親の私を訴えて、筆跡鑑定でもすれば良い」
「あんた達が、そんなに私のことを憎いなら訴えるか、殺すかすれば良い」
「親を訴えたり殺したりするのか普通だって言うなら、やれば?」
逃げ癖のある人の開き直りの特徴ですよね
そして、週末になって叔母達も集まったところでも、言っちゃうんです
「この契約書には、私の名前が一切ないから、私にはどうしようもできない」
「私にはできることは何もない」
その言葉で、怒りなんかよりも、もっともっと上に「唖然」がドーンと
「怒る気にもなれない」というのはまさにこのこと
こいつ、完全に逃げる気だと確信しました
こんなことを口にする時点で、気持ちだけではなく、もう実践しちゃってます
おい、アンタが全ての元凶だろーが!逃げるなよ!!